前言撤回日記

postcard 2010

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あけまして5月です。もうじき半年が経とうとしています。バカか。

昨年末は押せ押せムードで時間が足らず、今年の年賀状は若干手抜きになった。
手抜きというか、ここ数年は毎回手書きPostScriptによるタイポグラフィが基本テーマだったのだけれども、今回はPostScriptはぜんぜん書いてなくて、パスの長さを調べるのにJavaScriptを使っただけ。

本来ならばここから可読の境界を探る的な段階を踏むべきなのに、あいにく時間切れでそこまでもいかなかった。しかもオフセット印刷の入稿期限はすでに過ぎていて、オンデマンド印刷しかできず。
それにしても、まだ勤め人だった10年くらい前に試したことがあるオンデマンド印刷、当時と比べてやはり技術は進歩しているのだなあ、という実感がある。

コレを受け取った友人から、毎度年賀状がおもろいけど池田亮司とか好き?と言われたが、寡聞にして存じませんでした。
the official ryoji ikeda web site

おお、なるほど、ちょっと好きかも。
まあ、好きって言うことであれば国内だけ見ても杉崎真之助さんとか大杉学さんとか好きな作風の人いっぱいいます。

SHINNOSKE INC. WORK
702 NANAMARUNI DESIGN WORKS

TAKEO PAPER SHOW 2009

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ひと月ばかり前の話になるが、TAKEO PAPER SHOW 2009に行ってきた。

今年は例年にない試みで、完全事前登録制のセミナー形式である。
セミナーと言ってもスピーカーが30分にわたって一方的に話し、質疑応答は無し、撮影も録音も無しというスタイル。

通常、竹尾ペーパーショウは紙の専門商社である株式会社竹尾が、新製品のお披露目も兼ねて実力派のデザイナーに企画を任せ、デザインと紙と時代の関係にひそむ注目すべきテーマや、紙の持つ新しい可能性などを提示する、示唆に富んだ展示を行ってきたワケである。
けれども、ここへきて世界は経済的に大きな混乱を生じ、その混乱に対していかに向き合うかという問いが製紙業界においても切実なものとなった、という事なのだろう。

各講演内容は5/31までという限定付きでネット上に動画としてアップロードされている。
http://www.takeopapershow.com/

A 製品、B メディア、C 感性と三つに分かれたテーマの中で僕の受講したのはBのメディアである。
スピーカーは東大準教授の水越伸さん、コラムニストの小田島隆さん、編集者の都築響一さん、岩波書店社長の山口昭男さん、DNPの鈴木英之さん。

基本的には新聞なども含めた出版の現状と今後、メディアとしての紙の役割に関する歴史的変遷、表現という行為の本質、紙と新しいメディアによる展開、などといった内容。

特に刺激的だったのはやはり都築響一さんの講演だろうか。
というか都築さんのプレゼンテーションが非常にうまく、話に引き込まれてあっという間に終了してしまった。
ただ、テーマから言うと非常に身も蓋もない話であり、表現したいものを持っている個人や企業にはメディアの多様化は好条件として働くであろうけれども、こと「紙」という側面に絞った場合、例えば竹尾の商うような高級商材としての紙はそうとう厳しい戦いを強いられるだろうと予想させた。
そこにはユニクロと百貨店の明暗を見ればクオリティ追求による差別化が進むべき方向ではない事は明らか、という示唆も含まれる。

岩波書店の山口社長は他者の言葉や事例を数多く引用しつつ、紙や書籍の「魅力」を感覚的に繰り返し説かれるのだが、そこに示されたマーケットのデータから読み取れるものはなかなかその感覚を裏付けている、とは捉えにくく、出版社社長という立場上、どうしてもポジショントークに見えてしまうあたりがいかにも残念だった。
山口社長の説く紙のアドバンテージは確かにあるとは思うのだが、大切なのはそれを説得力を持って市場にアピールし、浸透させていく事だろうと思う。
そしてそういった広報活動をやっていくにあたってはやはり紙以外のメディアを積極的に使って、という事が必要になるはずであり、ネットやケータイ、あるいはテレビ、映画、演劇、スポーツ、音楽などが紙メディアを通じてその魅力をアピールしたのとまさに逆の浸透を促さねばならない。

DNPの鈴木さんは最後ギリギリにAR(拡張現実)に関する興味深いプレゼンテーションがあったのだが、前半に自社サービスの宣伝に時間を使いすぎて若干消化不良。

小田島さんはリテラルな情報をグラフィカルな情報に変換するというレイアウトの機能、グラフィックに対する人間の処理能力の驚異、そこから新聞の一覧性、ブラウザビリティの持つWebに対する優位性を説く。
また、新聞を読む際の「ブラウザビリティを活用する能力」そのものの向上(速読とか)と「紙メディアの情報にアクセスできるという逆説的な優位性」が今度は受け手・ユーザー自身に差をもたらすのでは、という指摘も。

水越さんの身体とメディアの関係性から見直す、という視点も興味をそそられる。人がメディアと遊ばなくなるとメディアが硬直化してくる、という話を新聞紙でカブトを折るという経験を通して語られたが、そういう意味ではWebもこの10年でかなり硬直化してきているという事になるだろう。
ここを初期の混沌に立ち戻って別の進化を探るというのもひょっとすると可能性があるのかもしれない。

といった具合で各講演ともさまざまな可能性について言及しつつも紙メディアの具体的な未来像はおのおの考えておくれな、という話であり、なかなかに悩みは深いと言わざるをえない。難儀よのう。

あとは現場で観ていない講演を動画で順次チェック中。深澤直人さんの動画はUPされないのかしら。

tha

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NOW UPDATING… THA/中村勇吾のインタラクティブデザインに行ってきた。
毎回、高度なクリエイティブで観る者を魅了し同業者をビビらせる、中村勇吾さん率いるtha社の初の展覧会である。

ネットで観られる物をわざわざ展示? といぶかる向きもあるかもしれないが、そこは他ならぬtha社。展示用にオプティマイズとチューニングを施して、心地よい展示に仕上げてある。
また、ネットではお目にかかったことのないコンテンツもあり、実験的な物なのかもしれないが非常に楽しめた。

もう終わってしまったので多少ネタバレ的な事を書いても誰も怒らないだろう。

会場はggg(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)。地下と一階が展示会場である。
もう何度も観たおなじみのコンテンツが、これが意外なことに縦長のディスプレイに表示され、新鮮な趣を見せていた。

一階の展示はインタラクティブ系のコンテンツで、ユーザの引き起こすイベントによって反応するタイプの展示が中心。最近ローンチされたモリサワのFONTPARK 2.0 | MORISAWAなどもあった。もうこの辺になると何をどうやって作っているのか検討見当もつかない。

地下の展示は時計をモチーフに各コンテンツを同期させ、クロック音を流し続けたり一定の時間ごとに時報と共にすべての画面を社名ロゴへ切り替えるなど、独特の空間を演出していたのだが、これもまた効果的であった。
どう効果的かといえば、これらのコンテンツは観客がいつまでも見入ってしまうようなトランス的な状態を狙って作られているので、うまくいけばいくほどリアルの会場では人が流れない。
それが時報が入ることで画面から離れて次の作品に目を移すきっかけが与えられ、結果として人の停滞を抑制することができるワケだ。非常によく考えられている。

とにかく全体的にクオリティが高く、ここまでやるのか……というカンジ。
依頼する側にも覚悟が必要なレベルだ。

顔認識を使ったコンテンツはネットでは未公開かな、と思うけれども、これもなかなか(文字通り)入り込んでしまう作品だ。
備え付けのカメラから閲覧者の顔を取り込んで既存の人物写真にはめ込む、という物だが、エレベーターホールに鏡を設置したら待ち時間の長さに対する苦情が無くなった、みたいな話があるくらいみんな自分の顔には愛着があるから、誰でも楽しめるだろう。
ただし一度自分の顔が取り込まれると、次の閲覧者の顔で上書きされるまでさらされ続けるので、公共の場ではいたたまれなくなる可能性もある。いや僕の話じゃなくて。

引用β(このネーミング、信用ベータへのオマージュ?)はWeb版ともスクリーンセーバーともずいぶん体裁が違ったが、この風格のある活字風のフォントはいいなあと思った。このあたりもすごく勉強しているようで、ひたすら感心する。すぐれた表現の裏に膨大なバックグラウンドがあるのだろう。


あと、この展覧会をきっかけに、改めて前田ジョンさんの偉大さを思い知らされた。
展示されているコンテンツの多くに、彼のダイレクトな影響が見て取れ、その洞察や創作がいかに根源的でありながら斬新で、人を引きつけるようなアイデアに満ちていたか、再度考えずにはいられない。
Maeda’s SIMPLICITY

サイゴン

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ワタナベアニさんと池田昌紀池田晶紀さんの写真展「ふたりのサイゴン」に行ってきた。

カオティックなサイゴンの情景をカオティックなままダイレクトに差し出す池田さんとエレガントに切り取ってみせるワタナベさん。対照的なおふたりのサイゴンを見せていただく。

共通して「狙って撮った」というより「出会って撮った」といった趣で、展示の仕方としてはライブ感覚寄りな池田さんに対してワタナベさんの方は(ご本人もおっしゃってましたが)組写真で意味を浮かび上がらせるようなアートディレクター寄りな方向。

「海外に行ってちょっと面白い物撮ってきた的な写真」にならないように気を付けてチョイスした、との事だが、同時にこの方法だと瞬発力だけになりやすい、という分析も鋭い。
作為やあざとさ、ケレン味をいかにインペーするか、またはロシュツするかのコントロールは表現の上では重要な課題になるはず。
また、じんわりくる種類の写真は難解になりやすいので間口をどう拡げるかという点も難しい。

事前にトークショーも予約してあり、こちらは常磐響さんを交えて「さんにんのサイゴン」というテーマでのゆるゆるトーク。
どのくらいユルいかというと、途中でスピーカーの2/3がトイレのために中座するというサイゴンなみ(たぶん)のユルさ。

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ワタナベさんと常盤さん

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池田さん

池田さんは文字や文章にあまり興味を持つタイプではないそうで、そういう人が自分の行為やら考えやらを言語化するトークショーというイベントに出演するのだから何かと危なっかしいワケであるが、さすがワタナベさんと常盤さんは生来の頭の回転と年季の入った落ち着いたトークで自らの体験や考察を語っていて楽しかったし、うなずけることも多々あった。

常盤さんの「撮ることを街に許されてる感じ」や「先の事は分からない、ようやく2〜3年前の事が分かるようになってきた」はふいに出た言葉だと思うけれども共感を覚えたし、ワタナベさんの「一日6GB撮っても、なぜ8GB撮れなかったのかと思う」という言葉や「写真の選択は二度目の撮影」という引用には「ああ、ワタナベさんは映像の人であるなあ」と思ったりした。

昨年の「ふたりの上海」には行きそびれたのだが、パンフレットが買えたのでよかった。
今回のパンフレットには写真が一葉ついてきて、裏面を見ると直筆のサイン。細やかなサービス精神がうれしい。

来年はヨーロッパだそうで、やる方も楽しみだろうが見る方も今から楽しみなのであった。

postcard 2008

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今年の年賀状。

0000から延々数え上げる。

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部分。

文字そのものの濃淡が織りなす、さざ波のようなパターンを愛でるというグラフィック。
とはいえ最後の1行、4桁なのに9999以降もダラダラと続けてしまったあたりツメが甘い。
ワン・モア・アイデア欲しかったが、けっきょく妥協。

試したかったのはPostScriptファイルにオリジナルのType 3フォント(0〜9とH、A、P、Y、N、E、W、Rしかないのだが)を直書きして表示するというのと安価なCTPのオフセットでもここまで細かい印刷ができるのか、という事。

最初のトライに関してはほとんどPostScriptリファレンスマニュアルの写経なので問題はなかった。
で、これをやるとillustrator上などでテキストとして扱われるのかと思ったら、アウトラインデータになっていた。そこはかとなく残念。

次のテストもインクジェットプリンタでは潰れて読めなかったものが印刷では鮮明に読み取れる。やっぱりぜんぜん違うな。
版ズレを避けるために文字がM版だけで済むこの色味にしたが、これほど小さい印面で、厚手の紙なら掛け合わせでも問題ないだろう。ただし紙のサイズが大きくなった時はちょっと分からない。

TIME AS GRADATION

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TIME AS GRADATION


時計作った。
時に応じて刻々と表情を変化させるグラデーションが、自分ではあまりやらないような色の組み合わせを見せてくれるのではないかという、PC頼みの偶発ビジュアルコンテンツ。

時、分、秒をそれぞれ角度に変換して色相環上を周回する。

この辺、うまい数式とかありそうなものだが、全然わからないのでif分岐の力業であります(泣)。

TAKEO PAPER SHOW 2007

超遅まきながら先日行ったTAKEO PAPER SHOW 2007についてエントリー。

今回は以前までの青山スパイラルから丸の内に場所を移しての開催。
一昨年のペーパーショウについてここで噛み付いた撮影禁止・お手つき禁止の件は解消されていて、フラッシュをバシャバシャ焚かなければ撮影もOKとの事であった。作品自体も触って楽しむ事ができ、紙という素材のおもしろさを伝える上では大きな前進だったと思う。
実はあとから知ったのだが、撮影禁止は前回までの会場の方針だったらしく、主催者側の意向ではなかったようだ。

展示自体はテーマが「FINE PAPERS」とワンテーマであった事も影響してか、若干スケールダウンの印象はいなめない。
出品物の好き嫌いは属人的な物だからひとまず置くとして、この催しはやはり各参加者たちがテーマに沿ってそれぞれ新しい素材や技術と向き合い、いかなる解答を出してくるのかが大きな見所であるはずだ。しかし今回デザイナーとしての新しい提案といった物は特になく、すでに世の中にある物(ティッシュボックスとか紙バッグとかトランプとか)をそのまま新しい素材で作ってみました、といったレベルであり、インパクトとしてはいささか物足りなく感じた。
それぞれ実際のショップとコラボレートしていて、ショップに出向いて買い物をすると展示品と同じ物が記念品として配布されるという試みはまあ新しいし、僕もサヴィニャックのポストカードに惹かれて同ビル内のマークスアンドウェブに寄ってしまったワケだから(結局あまり欲しい物がなくて買いそびれたけど)主催者の術中に見事にはまっているのだが、それは展示内容の弱さを補うことにはつながらない。
会場を移して色々と事情もあったのかもしれないけれども、残念ながら今回は驚きの少ない展示会となった。

070413papershow01.jpg インテリアデザイナー片山正道さんによる紙製のチェス。今回の展示の中では実用性はともかく一番おもしろいと思った。プライクというマットな紙にUVインクでツヤのある印刷を施し、その質感の違いで盤面のチェック模様を表現している。駒の裏面はオペークインクで白くして文字を読みやすくしている。

070413papershow02.jpg イラストレーターのヒロ杉山さんによるティッシュボックス。素材がおもしろい。ファインペーパーといっても自然な風合いのものばかりではなく、メタリックとかトレペっぽいのとかいろいろある。これはザンダースメタリックに箔押し。

postcard 2007

070108postcard.jpg 今年の年賀状。
おびただしい数の2007で描かれた2007。

070109postcard02.jpg 部分。

さて今回も例年通り、作ってる本人だけがうれしい年賀状。
表現方法としてはジョン前田さんのDynamic Formや中村勇吾さんのamaztypeなどでやりつくされたものの模倣であり、特に発見はないっす。

PostScriptには交差判定や衝突判定のような気の利いたモノはないので自前の当たり判定ルーチンを書いた。と言ってもベースの文字は全部直線なので単なる一次関数であり、中学生でも書けるワケだが。
あとは自分的には手書きのEPSファイル読み込みがやってみたかったのでそれが試せただけでもよしとする。
ちなみにEPS読み込みでは変なバグにぶち当たって、ルートディレクトリ上のファイルしか読み込めなかったりした。以前はそんな事はなかった気がするのだが……。

印象派っぽいタッチになったのでモネの睡蓮を参考に色味を決めたのだけれども、去年後半にプリンタドライバを入れ直してからインク量を調整するのを忘れており、うっかり出力を信じて数値を確認せずに出稿したら色味が浅かった。ダメすぎる。
とりあえず仕事でなくてよかったと思うことにして寝る。

I DESIGN

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私 デザイン

最近あんまりデザイン系の書籍を買わなくなってしまったが、たまには自分の日常と絶望的なほどかけ離れたようなレベルの人の仕事に触れたいと思って買ってみた、世界的なデザイナー石岡瑛子さんの著作。
そこにつづられるのはフランシス・コッポラ、マイルス・デイヴィス、レニ・リーフェンシュタール、デビッド・カッパーフィールド、ビョークといったいずれもトップを走るアーティストたちとの火花散るコラボレートの数々。
やはりデザインをアートにまで昇華させてしまうような相当強力なエゴがなくては第一線の猛者たちと五分で渡り合う事はできないようだ。

石岡さんのデザインには正直、共感できたりできなかったりだが、少なくとも彼女はそんな小賢しい理屈など超えた所で勝負している希有な存在である、と感じる。ゆっくり少しづつ読み進めています。

postcard 2006

060105postcard01.jpg 今年の年賀状。
すべての頂点をつなぐ。

060105postcard02.jpg 部分。

それぞれの文字の各頂点を結ぶ1万5千本以上の線分をランダムな色で描画し、さらにそのベースとなっている文字をスミノセ(ブラック・オーバープリント)で刷る。
今年は面白半分にPP貼りしてみた。毎度の事ながら、受け取った人が途方に暮れるデザインとなっております。

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