前言撤回日記

音の色彩

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飛んでいるコウモリの目の前に石を投げると(ぶつけちゃダメだよ)急降下して避けようとするのが楽しいですよね。

俗に、ほ乳類で色を感じる能力、つまり色覚があるのは人間を含む一部の霊長類だけだと言われている。
つまり光センサーである眼球の構造を調べた結果、光の波長を色情報として分別するしくみが他の種にはみられない、という事のようだ。

だが考えてみれば、視覚がもたらすのは単なる光の波長を信号にしたものに過ぎない。その信号が脳に伝達され、脳がそれを色彩として解釈する。
我々が見ている(と思っている)ものは入力された情報に対して意識下にアウトプットされた「脳の解釈の結果」なのだ。

暗闇を飛行するコウモリは物を見るにあたって視力を使っていない。
高周波の音波を発し、その反射を音センサーである耳で捉える事で周囲の環境を知覚する。ソナーの原理である。

色彩が光の波長に対する脳の解釈の結果である事は既に述べたが、音波はその名の通り波の性質を持っている。強弱や波長があり、光の持つ性質と共通のふるまいをみせる。
とすると、音波の波長もまた、脳が色彩として解釈する事は可能なのではないだろうか。
眼球に光の波長を識別する器官がない事がすなわち色彩を感じる能力がない事の証明にはならないのではないか。
波長の長い低い音は赤く見え、高い音ほど青紫に輝く。
急激に近づくものはドップラー効果で青方偏移し、どんどん青白く変色していく……。

他者の見ている色彩がはたして自分の感じている物と同一であるのかという検証不能な疑問は誰もが一度は持つものとして知られる。
同様に検証のすべはないが、人の目には暗闇に生きるコウモリ達も案外色鮮やかな、色彩豊かな世界を暮らしているのかもしれないのである。

毎年、薄暗い夏の夕暮れにはばたくコウモリを見るたび、そんなとりとめのない妄想にちょっとだけワクワクするのであった。

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