前言撤回日記

サイゴン

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ワタナベアニさんと池田昌紀池田晶紀さんの写真展「ふたりのサイゴン」に行ってきた。

カオティックなサイゴンの情景をカオティックなままダイレクトに差し出す池田さんとエレガントに切り取ってみせるワタナベさん。対照的なおふたりのサイゴンを見せていただく。

共通して「狙って撮った」というより「出会って撮った」といった趣で、展示の仕方としてはライブ感覚寄りな池田さんに対してワタナベさんの方は(ご本人もおっしゃってましたが)組写真で意味を浮かび上がらせるようなアートディレクター寄りな方向。

「海外に行ってちょっと面白い物撮ってきた的な写真」にならないように気を付けてチョイスした、との事だが、同時にこの方法だと瞬発力だけになりやすい、という分析も鋭い。
作為やあざとさ、ケレン味をいかにインペーするか、またはロシュツするかのコントロールは表現の上では重要な課題になるはず。
また、じんわりくる種類の写真は難解になりやすいので間口をどう拡げるかという点も難しい。

事前にトークショーも予約してあり、こちらは常磐響さんを交えて「さんにんのサイゴン」というテーマでのゆるゆるトーク。
どのくらいユルいかというと、途中でスピーカーの2/3がトイレのために中座するというサイゴンなみ(たぶん)のユルさ。

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ワタナベさんと常盤さん

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池田さん

池田さんは文字や文章にあまり興味を持つタイプではないそうで、そういう人が自分の行為やら考えやらを言語化するトークショーというイベントに出演するのだから何かと危なっかしいワケであるが、さすがワタナベさんと常盤さんは生来の頭の回転と年季の入った落ち着いたトークで自らの体験や考察を語っていて楽しかったし、うなずけることも多々あった。

常盤さんの「撮ることを街に許されてる感じ」や「先の事は分からない、ようやく2〜3年前の事が分かるようになってきた」はふいに出た言葉だと思うけれども共感を覚えたし、ワタナベさんの「一日6GB撮っても、なぜ8GB撮れなかったのかと思う」という言葉や「写真の選択は二度目の撮影」という引用には「ああ、ワタナベさんは映像の人であるなあ」と思ったりした。

昨年の「ふたりの上海」には行きそびれたのだが、パンフレットが買えたのでよかった。
今回のパンフレットには写真が一葉ついてきて、裏面を見ると直筆のサイン。細やかなサービス精神がうれしい。

来年はヨーロッパだそうで、やる方も楽しみだろうが見る方も今から楽しみなのであった。

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